真夜中に気ままに語るお気に入りの音楽のお話を・・・ (2006年10月以前の日記は、他サイトから移動中です)
4分間のピアニスト
2007-11-22 Thu 23:44
「激しさ」と「辛さ」と「情熱」を感じとった映画だった。

原題は「Vier Minuten」=4分間である。
ラストを飾るその4分間に、主人公ジェニーへ
残りの人生をかけた老ピアノ教師クリューガーの思いと
ジェニーの押さえ切れないピアノへの思いの情熱、発露が
交差し、激しい演奏となって表現されていく。

ピアノの演奏に天才的な才能のあっただったジェニーは
あることをきっかけに、自らの才能の道を放棄し
荒んだ少女時代となって、収容所にいた。

そこに、トウラデ・クリューガーと言うピアノ教師が
来て、彼女に出会い、彼女の才能を見抜くのだが
その先にあったものは、並大抵のことではない
ジェニーの心の行方だった。

1200人の中からオーディションで選ばれた
ハンナー・ヘルツシュプルングの演技は、
ジェニーの心の葛藤とピアノへの情熱と
愛への思いを、主人公のその激しい性格と共に
観客を映画に引き込んでいく。
対するベテランの女優、モニカ・ブライブトロイも
過去への思いを背負ってジェニーにその才能を再び
開花させるべく老教師、クリューガーの役を
見事に演じきって、この二人の渦の中に自分が
巻き込まれて、心揺さぶられその空間に第三者として
スクリーンの片隅に居た錯覚さえ起きていた。

劇場が限られているのが残念だけれども
この上映期間が終わっても名画座で引きついで
上映していない県にも回って欲しい。


 4分間のピアニスト公式サイト



映画「4分間のピアニスト」オリジナル・サウンドトラック 映画「4分間のピアニスト」オリジナル・サウンドトラック
サントラ (2007/10/31)
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映画「エディット・ピアフ 愛の賛歌」
2007-11-04 Sun 02:43
公開中の「エディット・ピアフ」を見てきた。

歌を歌うことでしか生きれなかった彼女の
凄まじい人生が映像の中にあった。

映像の中での晩年は、
相当、年老いて見えたけれども
まだ47歳での終焉だった。

路上で歌を歌い日銭を稼いでいた母の元にいたピアフは
後に父に連れられ、祖母の営む売春宿で育つ。
心優しい娼婦に囲まれ愛され、しかしやがては大道芸をする
父と一緒に各地を回り、やがては自分も母と同じように
路上で歌を歌い始める。

そして、そこにパリの名門のクラブオーナ、ルイ・クプレが
現れ、彼女の声に惚れ、自分のクラブを訪ねるようにと言い残し
そこから、彼女の人生が大きく羽ばたくのだけれども・・・
その先には、オーナーの死と彼女へのその嫌疑、
唯一、彼女に心の安らぎを与えらる愛する恋人との出会い
そして、断ち切られた彼の死。

自動車事故から、打ち続けたモロヒネの中毒で
彼女の体も蝕まれていくのだけれど、
彼女の奥底には歌があった。

愛する思いと、愛する歌・・・

映画館のサウンドは、そのよい音響で
今そこで彼女が愛を訴え、語りかけるように
臨場感をもって響いてきていた。

壮絶な人生にいた彼女を支えた歌が
いつまでもいつまでも心に残った。


「ビリー・ホリデーと同じ年生まれよ」
と言う意味の台詞があったけれども・・・
30年以上前に見たダイアナ・ロスがビリーを演じた
「ビリーホリデーの物語、をふと思い出し、
二人の壮絶な人生と歌への思いがどこかで交差していた。

しかし、ピアフ役のマリオン・コティヤール
「素晴らしい」のひと言につきた演技だった。


エディット・ピアフ~愛の讃歌 サウンドトラックエディット・ピアフ~愛の讃歌 サウンドトラック
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オリオン座からの招待状
2007-10-29 Mon 02:39
浅田次郎氏の小説の映画化。

昭和30年代、京都のとある町で名画を映し出して
町の人々の拠り所となった名画座「オリオン座」から、
時を経て閉館の至りになり、当事足を運んでくれた人々に
最後の上映のお知らせとして招待状が届いた。

当事、館主松蔵(宇崎竜堂)と妻トヨ(宮沢りえ)で
この映画館をきりもりしてきたが、そこへ田舎から
一人の青年、留吉(加瀬亮)がやってくる。
映画が終了しても青年は残り、ここで働かせてくれと懇願し
熱意を信じて、試しにと松蔵は彼を雇う。
思った以上の頑張りに松蔵も彼に期待をかける。
やがて松蔵は、病で倒れて死してしまうのだが
愛する映画館と愛するトヨを守ろうと、留吉は頑張るのだが
町は二人への噂と共に映画館から足が遠のく人も。
一時は怒りも覚えながらも留吉は愛する場所、愛する人の為に
自分の人生を傾けていく。

そこには、ひたむきな愛と優しい空間が存在する。
幼い時には、自分自身もそこに足を運んだ町の名画座が
こんな優しい思いに囲まれていたのかもしれないと
上原ひろみのメインテーマ曲の流れと共に
遥か彼方への思いを馳せれば、懐かしい甘い香りに包まれて
そこに笑顔のトメや留吉がいたのかもしれないと錯覚してしまう。

ちょうど渋谷に出てきていた上原ひろみファンの息子と
一緒に見ることになった映画。
先の見えぬ人生の向こうに迷走する彼には
ひとつの人生のあり方として、考える映画であったようだ。

激しい人生の映画もいい。
でも、こんな穏やかな空間の中での
生涯に渡る、スポットライトも浴びない
人々の拠り所になる空間を支え、愛を貫いた人生は
雑事に追われる日常の中で、忘れた思いをそこに
戻してくれる時間だった。

 オリオン座からの招待状

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バルトの楽園
2007-04-16 Mon 03:43
この映画の題名、楽園と書いて「がくえん」と読む。
映画館に足を運べなかったので、DVDにて観賞。

第一次世界大戦下、中国の青島を占領していた
ドイツ軍と戦った日本は、青島を攻略。
その地にいたドイツ兵を、日本各地の収容所に
送還した。

そんな中、徳島の板東俘虜収容所では
会津出身の松江所長が、捕虜たちの人権を守り
寛大な待遇で、過ごさせていた。

ドイツの降伏と共に、捕虜も開放されることに
なったのだが、彼らは別れ際、所長や地域の人々に
お礼として、ベートベンの第九を演奏しようと
計画をたてる。


日本に於ける「第九」のひとつのルーツとして
その背景にあるヒューマニズムを感じつつ
映画を見ることが出来た。

妻と娘のいる国と戦えないと抵抗する思い。
弟を戦死させた敵国の人間を受け入れられない思い。
夫々の国でそれぞれの立場で・・・
それぞれの思いがある。

会津の辛い歴史を目の当たりにして
父を思い、人間としての正義を貫く松江が、
第九の演奏の最中、その髭を切ろうと
鋏に手をかけた時、鏡に亡き父の顔が浮かぶ。
彼の理想郷の為の軍部への抵抗は
そんな父の信念と相まっていた。

ドイツ人の父を亡くした少女が・・・
弟を失い捕虜を受け入れない青年が・・・
脱走を試み、民家の婦人に助けられた青年が・・・
ドイツ人少将を受け入れられなかった所員が
第九の演奏の中、相手を受け入れようとする
気持ちが芽生えてくる。


戦下で視力を失ったドイツの青年が
演奏を聴きながら呟いた言葉が
印象的だった。

Deutschland!
(ドイツだ)
Ich kann Deuchland sehen.
(ドイツが見える)
Ich kann die Heimat sehen.
(祖国が見える)


バルトの楽園 バルトの楽園
松平健 (2006/12/08)
東映

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